切らないワキガ多汗症治療「ミラドライ」専門クリニック、CLINIC N(クリニックN)東京銀座です。ミラドライ東京エリアで治療をご検討の方へ向けて、ミラドライ認定医院長が「ワキガ治療ミラドライ」について詳しく解説するブログ第90号となります。
今回のテーマは、「ミラドライ」と「吸引・掻爬法(シェービング法)」はどちらが効くのか?です。
両者を比較した医学論文をもとに、効果・安全性・再発率をわかりやすく比較していくシリーズ第1弾です。
ワキガ治療の名称は多いが、実態はシンプル
ワキガ治療には、「ローラー法」「クアドラカット法」「シェービング法」「ベイザー◯◯法」など、名称が多く分かりにくい治療が多数あります。しかし医学的には、これらの多くが “吸引・掻爬法(suction-curettage)” という同じカテゴリーに分類されます。
皮膚に小切開を入れ、カニューレを皮下に挿入し、汗腺を盲目的に削り取る外科的治療です。
一方、ミラドライ(miraDry) は皮膚を切らず、汗腺の密集する「真皮–脂肪境界」をマイクロ波で加熱・破壊する非外科治療です。
本記事では、ミラドライと吸引・掻爬法のどちらがワキガに“効く”のか?を医学論文にもとづき客観的に解説します。
※今回は 2019年:Yang HH らの403例の臨床研究を扱います。(シリーズ第1弾)
形成外科・美容外科が主導した研究であるにもかかわらず、ミラドライの有効性と安全性が高く評価されている点が重要です。
■ この研究について
2019年の Yang らの研究は、中国(南方医科大学形成外科・美容外科)と台湾(台北医科大学皮膚科等)の3施設共同による比較研究です。
治療法として
ミラドライ(168例) (レベル5、シングル照射)
浅層脂肪吸引+掻爬法(116例)
Nd:YAGレーザー(119例)
の3つを比較しました。
評価方法
臭いの強さを スコア0〜10 で評価し、
“術前より50%以上改善した場合” を「成功(successful)」と定義
したがって、以下に示す数字は
臭いが0になった割合ではなく、「半分以上改善した人の割合」 です。
■ 臭いに対する成功率
● 術後3か月
ミラドライ:92.3% (±14.48)
浅層脂肪吸引+掻爬法:100% (±0)
レーザー:60.7% (±24.98)
● 術後12か月
ミラドライ:91.8% (±15.47)
浅層脂肪吸引+掻爬法:98.7% (±3.28)
レーザー:48.9% (±28.90)
👉 ミラドライと吸引・掻爬法は1年後も非常に高い成功率を維持しており、統計的な有意差は認められませんでした(効果は同等)。レーザー治療は有意に成功率が低く、時間と共にさらに低下することが分かります。
※繰り返しになりますが、本研究で用いられている “成功” は、術前の臭気の評価が術後50%以下になれば全て成功とみなすというものであり、改善幅までは反映していません。においが90%、100%減ったわけではありません。60%減っても90%減っても同じく「成功」とみなされます。
ミラドライと吸引掻爬法の間に統計学的有意差はなく、においが50%以下になった方は吸引掻把法のほうがやや多く見えますが、今回たまたまそうだっただけの可能性があります。また違うグループで同じことを行った場合は逆になることがありえます。結論としては両者には差がないということになります。(例えばコインを100回投げて表が出る確率は50%ですが、100回投げて表が53回でる場合もあれば47回出る場合もあるということです。)
■ 再発率(1年後)
ミラドライ:8.3%
吸引・掻爬法:0%
レーザー:79%
👉 ミラドライと吸引掻爬法は 統計的学的に有意差なし。 レーザーは再発率が有意に高い。
数字だけ見ると掻爬法が「0%」で優れているように見えますが、解釈には注意が必要です。
本研究での「再発」とは、“治療後にいったん改善した臭気のスケールが、フォローアップ時に増加した場合”と定義されています。
つまり、スケール が再び上昇した場合に再発として扱われます。
例えばミラドライで 10→3→4 になった場合は再発、
吸引掻爬法で 10→4→4 になったら再発なしになります。最終結果が同じでもです。
また、DLQI の箇所で後述するように、掻爬法群には元々症状が重い患者が多かった可能性 があり、
主観的評価には季節・心理・生活環境などの要素も影響することがあります。
いずれにしても、ミラドライと掻爬法の再発率には統計学的な有意差はなく、たまたま今回の集団でこのような数字になった可能性があります。
別の集団で評価すれば逆の結果になることも十分あり得るという結果です。
■ DLQI(QOL:生活への影響)
DLQI(Dermatology Life Quality Index)は
皮膚疾患が日常生活へどの程度影響しているかを0〜30点で数値化する国際的指標 で、
・症状・気分
・日常生活
・レジャー
・仕事・学校
・対人関係
・治療負担
など10項目から構成されています。
DLQI の評価票(フォーム)は イギリスの大規模医療施設であるインペリアルNHSが公開する実用ガイドPDF で確認できます:
■ DLQI(本研究の結果)
● ミラドライ
Baseline:23.46
3か月後:14.6
12か月後:18.5
● 掻爬法
Baseline:29.06
3か月後:14.8
12か月後:14.6
● レーザー
Baseline:14.06
3か月後:5.75
12か月後:6.86
👉 ミラドライと掻爬法の間に統計学的な有意差なし(=QOL改善は同等)。
■ 合併症
重度(Major)合併症のみを中心に比較します。
● 永久的な拘縮(Permanent contracture)
掻爬法:43人(37.1%)/116例中
ミラドライ:0人(0%)/168例中
レーザー:1人(0.8%)/119例中
● 血腫(Hematoma)
掻爬法:51人(44.0%)/116例中
ミラドライ:0人(0%)/168例中
レーザー:2人(1.7%)/119例中
● 皮膚壊死・皮膚びらん(Skin erosion / necrosis)
掻爬法:1人(0.9%)/116例中
ミラドライ:0人(0%)/168例中
レーザー:18人(15.1%)/119例中
■ 合併症の総括(論文の指摘)
掻爬法では、永久的拘縮や血腫といった、重度に分類される合併症が他の治療に比べて有意に多く、盲目的にカニューレを操作する構造的なリスクに起因しやすいと論文内で指摘されています。
ミラドライではこれらの重度合併症は一例も認められず、安全性の面で明確な差がありました。
■ 吸引・掻爬法の構造的な限界
● 剪除法(皮弁反転法)のメリット
皮膚を開き、“直視下で汗腺がある層を確実に除去できる” こと。
● しかし吸引・掻爬法は…
カニューレを皮下に入れて 盲目的(ブラインド)操作
方向・深さ・力加減が 術者の感覚に依存
そのため、
掻爬法は盲目的に行われるため除去のムラが生じやすく、合併症が多くなる可能性があります。
“over-curettage(削りすぎ)”“under-curettage(削り残し)” は避けられないリスクであり、術者による差が出やすい治療とされています。
■ ダウンタイムの違い
(本研究では**「痛みなく通常動作ができるまでの日数」**で評価)
ミラドライ:2.65 ± 2.8日
レーザー:3.79 ± 3.03日
掻爬法:14.75 ± 1.74日
👉 掻爬法はミラドライの 5倍以上長いダウンタイム。
なお、掻爬法では術後 24 時間の圧迫包帯に加え、2 週間は腕の フル挙上・外転は禁止 とされています。
一方で、日常生活で必要な可動域の動作は痛みの改善とともに可能となるため、
本研究では「痛みなく通常の動作ができるまでの日数」をダウンタイムとして評価していると思われます。(ミラドライも1週間後で腕をフル挙上すればピリッと痛みが走るのが通常です。)
■ 論文の結論
・効果:ミラドライ ≒ 掻爬法(差なし)
・再発:差なし
・安全性:ミラドライが圧倒的に優れる
・合併症:掻爬法 のほうが有意に多い。
本研究では、外科的治療をメインにやっている形成外科・美容外科が主導して行った研究であっても、ミラドライがワキガ治療に第一選択となり得る治療と結論づけられています。
■ 研究の限界(後ろ向き研究)
この研究は 後ろ向き研究(retrospective study) で、過去のカルテを後からまとめて分析する方法です。
実臨床データを大人数・短期間で評価できる利点がある一方、以下のようなバイアスや限界が存在します。
治療選択のバイアス:
無作為割付ではないため、例えば主治医・本人の希望、症状の重さなどで選択に偏りが生じる可能性。
情報バイアス:
カルテ記載の質や医師ごとの違いに左右され、合併症などの記録精度にもばらつきがある可能性。
施設差の影響:
3施設共同研究のため、手技・フォローの仕方などが完全に統一されていない可能性。
治療手技の均一性がない可能性:
ミラドライの照射範囲、掻爬法の操作、レーザー設定など、実際には細かく異なり得る。
症例背景の不均一:
掻爬群の baseline DLQI が高く、元々重症例が多かった可能性。
著者らも
「より厳密な比較にはランダム化比較試験(RCT)が必要」
(患者をランダムに3群に割り振りなるべく同一の条件での治療を行い、同一の条件でフォローする)
と述べています。
■ <断り書き>
本記事では、医学論文に記載されている「吸引・掻爬法(suction-curettage)」と「ミラドライ」の比較データを紹介していますが、国内クリニックで行われている施術は、各院が独自の改良を加えている場合があります。
そのため、実際の手技・使用機器・照射範囲・掻爬方法などが、論文で扱われている手法と完全に一致しない可能性があります。本記事は あくまで「代表的な分類・一般的な手技に基づく学術的整理」であり、個々のクリニックの施術内容を評価するものではありません。
詳細は各医療機関にお問い合わせください。
また、当院(CLINIC N 東京銀座)のミラドライは 「広範囲ダブル照射」 を標準としており、
本論文で使用された シングル照射 とはプロトコルが異なります。
同じミラドライであっても結果は変わり得ます。(当院では広範囲ダブル照射でさらに良い方向に変わると考えております。)
■ 引用文献
Yang HH, Chen B, Li X, et al.
Minimally invasive approaches to axillary osmidrosis treatment:
A comparison between superficial liposuction with automatic shaver curettage,
subcutaneous laser treatment, and microwave-based therapy.
Journal of Cosmetic Dermatology. 2019;18(6):1801-1809.
doi:10.1111/jocd.12731
PubMed: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30203579/
いかがでしたでしょうか?吸引掻把法とミラドライを比較した論文は他にもありますので、今後また第2弾などとして解説していきますので、今後も時々当院ブログをチェックしてみてください。
文責: 院長・管理医師 ミラドライ認定医 小川 直美
関連論文:
ミラドライはワキガに効果なし? 「ビューホットとミラドライどちらがいいのか? 後編」
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東京のミラドライで口コミ4年半連続高評価(口コミ広場2021-25年上半期)
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切らないわきが・多汗症治療
マイクロ波で汗腺を焼灼
治療回数通常1回 自費診療 165,000円税込~480,000円税込
副作用:治療部位の疼痛腫脹皮下出血・感覚の変化等
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