ミラドライ専門のCLINIC N(クリニックN)東京銀座から、ミラドライ診療に関するミラドライ認定医院長ブログ第84号です。
以前、「ビューホットとミラドライどちらがいのか?前編」のブログをUPし、前編では主にビューホットについて述べましたが、今回は主にミラドライについて深堀りしていきたいと思います。
ミラドライがどのような仕組みで汗腺に作用しているのか、その開発の過程を交えながらご説明いたします。
ミラドライは「マイクロ波」という電磁波の一種を使って治療を行っています。
マイクロ波とは、300MHz~300GHzの範囲にある電波のことで、波長でいうと1mから1mmの幅があります。
ミラドライでは、この中でも5.8GHzという周波数が採用されています。
この周波数が選ばれたのは、コンピューターシミュレーションによる検証の結果です。
汗腺は、真皮と、その下にある皮下脂肪の境界あたりに存在しています。
シミュレーションでは、「どの周波数でこの境界部分に最も効率よく熱が吸収されるか」を詳しく検討しました。
その結果、表皮や真皮浅層ではあまり熱を吸収せず、汗腺のある、真皮深層/皮下脂肪境界部で最大限に熱が吸収される周波数が5.8GHzであることがわかり、これが採用されました。
※マイクロ波による加熱は。真皮や皮下脂肪など組織の種類ごとにマイクロ波に対する特性(吸収しやすさなど)が異なるため、マイクロ波の周波数を上手く選べば場所選択的な加熱ができ、ターゲットの部位に直接エネルギーを伝達することができるという利点があります。
また、真皮と皮下脂肪のマイクロ波に対する特性が違うため、その境界面でマイクロ波が結構な量反射します。
皮膚の深部に向かうマイクロ波と反射し皮膚表面のほうに戻るマイクロ波とで境界部のそばで建設的干渉(波が重なり合って強め合う現象)が起こり、境界面そばの真皮深層により強いエネルギーが集中ようになっています。同時に皮膚表面はハンドピースにより冷却されるため、皮膚表面には熱が伝わりにくくなっています。
マイクロ波が届くと、水分子が電磁波と同じ速さで振動を始めます。
ミラドライで使われている5.8GHzでは、水分子が1秒間に約58億回振動します。
この高速振動によって水分子同士が擦れ合い、摩擦熱が発生します。
これが「誘電加熱」と呼ばれる現象です。
真皮はたくさん水分を含んでいる組織ですので真皮中の水分子が高速に振動します。また、汗腺の中の水分も同様です。
この設計が本当に安全で有効かどうかを調べるために、動物実験(前臨床試験)が行われました。
この検証の結果、
汗腺のある境界部にエネルギーを集中させることに成功、境界部に熱損傷を確認
アポクリン汗腺の壊死を確認
ブタ皮膚モデルでの検証により、人間への応用の信頼性が高いことが示されました
出典: Johnson JE, O’Shaughnessy KF, Kim S. Microwave thermolysis of sweat glands. Lasers Surg Med. 2012 Jan;44(1):20-5. doi: 10.1002/lsm.21142. Epub 2011 Nov 29. PMID: 22127730.
以上みてきましたように、ミラドライは特定の周波数のマイクロ波を使用することによって、真皮と皮下脂肪の境界部分に最大限熱が加わるように設計されています。2つの層のマイクロ波に対する特性(反応)の違いを利用しています。エネルギーレベル5ですとだいたい皮膚表面から2㎜~5㎜位の深さを焼きますという説明をしていますが、だいたいの目安を言っているだけであり、厳密には何ミリというよりは、2つの層の境界部を中心に焼いているということになります。ですので、痩せている、太っているという体型の影響は基本的には受けないとされています。
一方でビューホットの場合、針を刺したところからダイレクトに熱が加わりますので、針が4㎜の深さで刺さった場合、4㎜の深さのところを中心に焼けます。これがもし、実際の真皮と皮下脂肪の境界面からずれている場合、汗腺の焼け具合が低下する可能性があります。(また前編のブログで述べましたように術者の力のかけ具合で、カートリッジを皮膚に強く押し付ける場合とそうでない場合とで、深さが変わり4㎜の深さにならない可能性があります。)
作用機序として、ミラドライのほうがビューホットより、より特異的に真皮と皮下脂肪の境界を狙える機械であると言えるでしょう。
前回ビューホットでは、水平方面も垂直方面も基本的に細かい点状に焼く機械であると説明しましたが、
ミラドライの場合は、深さ(垂直方向)はエネルギーレベル5の場合は一度に約2~5㎜の厚さ、水平方向は1㎝x3cmの長方形で焼けていきますので、1照射が1㎝x3㎝x約3㎜の立方体の形で焼けていきます。打ち漏れの可能性の観点から、点で焼いていくビューホットより、立方体で焼いていくミラドライのほうが打ち漏れは少ないのではないかと思います。
ここで、ネット上などでよく見かける、「ミラドライはワキガには効果なし」、「ミラドライはエクリン腺のみしか焼かない」、「ワキガの原因となるアポクリン腺は焼けない」などの言及は正しいのか?について考えていきたいと思います。
ミラドライは真皮・皮下脂肪の境界面を焼いていく施術のため、その一帯が焼けてしまいます。逆に言うと、エクリン腺だけ選択的に焼くことは不可能です。
先程述べましたように、ブタにはエクリン腺がなく、アポクリン腺の分布や大きさがヒトと似ているわけですが、そのブタを使ってアポクリン腺が焼けることを確認して開発されている機械ですので、アポクリン腺は焼けてしまいます。境界面一帯が焼けるので、毛も減ってしまいますし、脇の表面に分布している感覚神経の末端部分も焼けてしまいます。感覚神経の焼けた先端部分が再生してくるまで脇の感覚も鈍くなったり無くなったりします。
エクリン汗腺に水分(汗)があって、マイクロ波は水分子に作用するので、エクリン汗腺が主に焼ける、という言及のされ方ですが、確かにそういう要素はある程度あるかとは思いますが、真皮と皮下脂肪のマイクロ波に対する特性の違いで、その2つの層の境界面に熱が加わり、境界面が焼けます。そもそも真皮に存在する細胞にはたくさん水分が含まれています。エクリン腺だけが焼けるわけではないです。
当院のyou tubeでも述べていますが、日々施術している術者個人的にはにおいのほうが減りやすく、汗のほうが減らしにくい印象を持っています。ミラドライから半年後の状態でにおいがゼロという方は時折いらっしゃいますが(基本7割減位のことが多いですが。個人差あり。)、汗がゼロになったという方はほとんどいらっしゃいません(ゼロになったとおっしゃるわずかな方も評価基準が甘めでいらっしゃる可能性があります)。
米国FDAからは、脇のにおいを減らす効果も認められています。日本の厚労省ではとりあえずコメントはしないというスタンスでした。(臨床試験が米国のもので、においについては客観的な数値で測定するのが難しく、どうしても米国の患者さんの主観的評価のため、その欧米人の主観がただちに日本人にあてはめられるか不明なためと説明されています。)
「厚労省からミラドライはワキガに効果がないとされている、言われている」などの言及は正しくないです。
厚労省は「ミラドライはワキガには効果がない」とは、一度も否定していません。
以上、今回はミラドライのメカニズムについてみてきましたが、いかがでしたでしょうか?
長くなってしまいましたので、ビューホット後の方の発汗テストにつきましては、また別の機会にご紹介させていただきます。
関連ブログ:ビューホットとミラドライどちらがいいのか? 前編
ミラドライについてのページもご参考にされてみてください。
文責: 院長・管理医師 ミラドライ認定医 小川 直美
CLINIC N (クリニックN)東京銀座
東京のミラドライで口コミ4年連続高評価(口コミ広場2021-24年)
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GINZA SIXそば
ミラドライ
切らないわきが・多汗症治療
マイクロ波で汗腺を焼灼
治療回数通常1回 自費診療 200,000円税込~430,000円税込
副作用:治療部位の疼痛腫脹皮下出血・感覚の変化等
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